拠点間VPNをやめて年60万円削減——50名・多拠点製造業のゼロトラスト移行モデルケース

IT担当者がいない・兼任で困っている企業へ
月額8万円〜、情シス・IT部門・CTO機能を丸ごと外注できます
拠点間VPN、コストと運用負担が静かに膨らんでいませんか?
「本社と工場をVPNでつないでいるが、機器の更新やライセンス費が地味に重い」「リモートワーク用のVPNも増やしたら、誰がどこにアクセスできるのか分からなくなった」——複数拠点を持つ中小製造業で、こうした声をよく聞きます。
拠点間VPNは長年「当たり前」の選択肢でした。しかし近年は、VPN機器を一切使わずに拠点間・リモートの接続を実現するゼロトラスト(VPNレス)という選択肢が、中小企業でも現実的になっています。しかもコストはむしろ下がるケースが少なくありません。
この記事では、従業員50名・複数拠点の製造業を想定したモデルケースで、拠点間VPNをゼロトラストに移行するとコストとセキュリティがどう変わるかを、具体的な金額とともに解説します。
モデルケース:従業員50名・3拠点の製造業
今回想定するのは、次のような会社です。
- 規模:従業員50名
- 拠点:本社(事務)+工場2拠点
- 現状:各拠点にVPN対応のファイアウォール(UTM)を設置し、拠点間をVPNで接続。リモートワーク用にVPN接続も併用
- 困りごと:機器の保守・更新費がかさむ/設定変更のたびにベンダーへ依頼/退職者のVPNアカウントが残りがち/工場ネットワークと事務ネットワークが実質つながっている
IT専任担当がいない、または総務が兼任しているため、ネットワークの全体像を把握している人が社内にいない、というのもよくある状況です。
なぜ拠点間VPNが「重荷」になるのか
コスト面:機器・保守・更新が積み上がる
拠点間VPNには、各拠点にVPN対応機器が必要です。本体価格に加えて、セキュリティ機能を使うための年間ライセンス、ベンダーへの保守費、そして5年前後でやってくる機器のリプレース費用が継続的に発生します。拠点が増えるほど、この費用は拠点数分だけ膨らみます。
セキュリティ面:「つながったら中は素通り」のリスク
従来のVPNは、一度接続できると社内ネットワークの広い範囲に到達できる構造になりがちです。これは、1つの拠点やPCがマルウェアに感染すると、VPN経由で全社に被害が広がるリスクを意味します。また、インターネット側にVPN用のポートを開ける必要があるため、その口自体が攻撃の標的になります。退職者のVPNアカウントが消されずに残るのも、典型的な穴です。
解決策:VPNをやめて「ゼロトラスト」へ
ゼロトラストは「社内ネットワークだから信頼する」という前提を捨て、誰が・どの端末で・どのアプリにアクセスするかを毎回確認する考え方です。VPN機器を使わずに、これを実現できます。代表的なのがCloudflare Zero Trustです。
- 拠点・サーバー側:小さな接続プログラム(コネクター)を社内のサーバーで動かすだけ。インターネット側にポートを開ける必要がありません。
- アクセス制御:「このシステムには、この部署の人だけ」とアプリ単位で許可。Microsoft 365やGoogleアカウントと連携し、シングルサインオン+多要素認証で守ります。
- リモート・拠点間:社員は専用アプリを入れるだけで、どの拠点・自宅からでも同じ仕組みで安全に社内システムへ。拠点間VPNを張り直す必要がありません。
退職者はアカウントを止めれば即座にアクセス遮断。誰がいつ何にアクセスしたかのログも残ります。
コスト比較:月額・年額でどれだけ変わるか
先ほどのモデルケース(50名・3拠点)で、ざっくりとした費用感を比較します。金額は構成によって変動するため、あくまで目安です。
項目 | 従来の拠点間VPN | ゼロトラスト(Cloudflare) |
|---|---|---|
VPN対応機器(3拠点・5年償却の月割) | 約 10,000円/月 | 不要(0円) |
保守・ライセンス(年額の月割) | 約 25,000円/月 | 50名なら無料プランの範囲で 0円 |
設定変更・障害対応(ベンダー都度依頼) | 約 15,000円/月 | 運用代行に内包 |
合計(ツール・機器コスト) | 約 50,000円/月 | 約 0円/月 |
月額にして約5万円、年間で約60万円の差になります。さらに、5年ごとに数十万円かかっていた機器のリプレース費用も不要になります。Cloudflare Zero Trustは利用人数が一定数(提供元の無料プラン枠)までは無料のため、50名規模であればツール費を実質ゼロに抑えられるのが大きなポイントです。
※ 無料枠の人数を超える場合は1人あたり月額1,000円程度の有料プランになりますが、それでも機器+保守を継続するより安く収まるケースが多くあります。
移行後に変わること
観点 | 従来VPN | ゼロトラスト移行後 |
|---|---|---|
コスト | 機器+保守+更新が継続発生 | ツール費を大幅圧縮、機器更新なし |
アクセス範囲 | つながると社内が広く見える | アプリ単位で最小限のみ許可 |
認証 | ID・パスワード中心 | SSO+多要素認証(M365/Google連携) |
退職者対応 | アカウント削除が漏れやすい | 停止すれば即遮断・ログも明確 |
拠点追加 | 機器設置・VPN再設定が必要 | コネクターを増やすだけ |
注意点:工場特有の事情と「段階的な移行」
ゼロトラストは万能ではありません。移行を検討する際は、次の点を押さえておく必要があります。
- 工場の制御機器(OT機器)は別途検討:生産設備や古い制御機器など、Webやアプリの形になっていない通信は、ゼロトラストのアプリ単位アクセスでカバーしづらい領域です。事務系ネットワークから先行移行し、工場系は分離したまま個別に設計するのが現実的です。
- いきなり全廃しない:まず一部のシステム・拠点で試し、問題がないことを確認してから広げる段階移行が安全です。
- 設計・運用できる人が必要:仕組み自体は機器より安価でも、初期設計とアクセスポリシーの整備には専門知識が要ります。ここを社内だけで抱えるのが難しい場合は、外部のIT部門支援を活用するのが近道です。
まとめ
拠点間VPNは「当たり前」だった一方で、機器・保守・更新のコストと、つながれば中が広く見えてしまうセキュリティリスクを抱え続ける仕組みでもあります。複数拠点を持つ中小製造業ほど、その負担は拠点数分だけ重くなります。
ゼロトラスト(VPNレス)への移行は、コストを下げながらセキュリティを引き上げられる、数少ない「両取り」の打ち手です。50名規模であれば、年間数十万円のコスト削減と、退職者対応・多要素認証の強化を同時に実現できる可能性があります。まずは事務系ネットワークから、段階的に検討してみてはいかがでしょうか。
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