SaaS活用|9分で読めます更新: 2026年3月30日

SaaS費用を削減する方法——棚卸しで月9万円を浮かせた手順と管理のコツ

SaaS費用を削減する方法——棚卸しで月9万円を浮かせた手順と管理のコツ
SaaS費用が膨らんでいる中小企業向け。野良アカウント・未使用ライセンス・重複ツールの棚卸し手順5ステップを解説。実際に月9万円のコスト削減を実現した方法と、SaaS管理を継続するコツを紹介します。

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「毎月のSaaS費用、正確に把握できていますか?」

こんな状況に心当たりはありませんか。「いつの間にかSaaSが10本を超えていた」「誰が何を使っているか把握していない」「退職した社員のアカウントがまだ残っているかもしれない」——。

中小企業でSaaSの利用が広がるなか、導入は簡単でも管理は後回しになりがちです。その結果、気づかないうちに月数万円〜十数万円のコストが積み重なっているケースは珍しくありません。

本記事では、SaaS費用を削減するための棚卸し手順5ステップと、管理を継続するためのコツを解説します。実際にSaaS棚卸しで月9万円のコスト削減を実現した取り組みも紹介します。

中小企業に潜むSaaSコスト問題の実態

野良アカウントと未使用ライセンスが積み上がる

SaaSは部署ごと・担当者ごとに導入が進みやすく、気づくと「誰が承認したか分からないSaaS」が増えていきます。特に問題になるのが以下の2つです。

  • 野良アカウント:退職・異動した社員のアカウントが削除されずに残り、利用されていないのに課金が続く
  • 未使用ライセンス:全社導入したが実際には一部の社員しか使っておらず、多くのシートが空席のまま

たとえば、30名の会社でSlackのプロプランを全員分(月約900円×30名=27,000円)契約していても、実際に活発に使っているのが15名だとすると、半分のコストが無駄になっている計算です。

似た機能のSaaSが重複して存在する

「プロジェクト管理はAsana」「タスク管理はNotionのデータベース」「進捗共有はTrello」——同じ目的のツールが複数存在するケースも多く見られます。導入した担当者が変わるたびに「使い慣れたツール」を持ち込んだ結果です。

重複ツールは費用だけでなく、チームの分断にもつながります。どこを見れば情報が分かるかが不明確になり、業務効率も下がります。

誰も管理していないと起きること

SaaS管理が属人化していると、担当者の退職・異動でその情報が失われます。よくあるのは「経理担当者しか知らなかったSaaSが、退職後に誰も解約できずに課金が続く」というパターンです。

これは費用の問題だけでなく、セキュリティリスクにもつながります。退職者のアカウントが有効なままでは、情報漏洩の入口になりかねません。

SaaS費用削減のための棚卸し手順5ステップ

ステップ1:契約中のSaaSをすべてリストアップする

まず、会社で利用しているSaaSをすべて把握することから始めます。洗い出し方は主に3つです。

  • クレジットカード・銀行口座の明細を確認:月次・年次の引き落としを確認し、SaaSの決済をすべてリストアップする
  • 各部門の担当者にヒアリング:「自分が使っているツール」を部署ごとに出してもらう
  • ブラウザの保存済みパスワードを確認:ChromeやEdgeのパスワードマネージャーに登録されているサービスを確認する

この段階で、経営者や管理部門が把握していなかったSaaSが発見されることは珍しくありません。

ステップ2:各SaaSの利用状況と費用を確認する

リストアップしたSaaSについて、以下の情報を整理します。

確認項目

確認方法

月額・年額費用

管理画面の請求情報を確認

契約ライセンス数

管理画面のプラン・シート数を確認

実際の利用者数

管理画面のアクティブユーザー数・ログイン履歴を確認

契約更新日

管理画面の請求情報・メールを確認

管理者アカウント

誰のメールアドレスで管理者登録されているか確認

特に「利用者数 ÷ 契約ライセンス数」の割合を確認してください。50%を下回るツールは、ダウングレードや解約の候補になります。

ステップ3:削減・統合の候補を選定する

ステップ2で把握した情報をもとに、以下の観点で整理します。

  • 即解約候補:アクティブユーザーが0名のSaaS、退職者のアカウントのみが残っているSaaS
  • ダウングレード候補:利用者数が契約ライセンス数の半分以下のSaaS
  • 統合候補:類似機能のSaaSが複数ある場合(プロジェクト管理ツールが2本など)
  • 継続・維持:利用率が高く、業務に不可欠なSaaS

実際にSaaS棚卸しを行った企業では、このステップで「使われていない野良アカウント5名分×複数SaaS」「重複したプロジェクト管理ツール2本」を特定し、月9万円の削減につながりました。

ステップ4:解約・ダウングレード・統合を実行する

選定した候補について、実際に削減を実行します。注意点は以下のとおりです。

  • 解約・ダウングレード前に利用者への周知を忘れずに:突然使えなくなると業務に支障が出るため、事前にアナウンスする
  • 年次契約の解約は更新日に合わせる:中途解約できないSaaSは、更新日前に解約手続きを行う
  • データのエクスポートを先に行う:解約前に必要なデータをダウンロードしておく

ステップ5:SaaS管理台帳を作成し、継続的に管理する仕組みを作る

棚卸しは一度やって終わりではなく、継続的な管理の仕組みを作ることが重要です。Notionや Google スプレッドシートにSaaS管理台帳を作成し、以下の項目を記録・維持します。

  • SaaS名・カテゴリ・担当部門
  • 月額費用・契約ライセンス数・更新日
  • 管理者アカウント(メールアドレス)
  • 利用者リスト(入退社時に更新)
  • 最終レビュー日

棚卸しで発見されやすい「無駄」のパターン

実際の棚卸し支援で頻繁に見つかる無駄のパターンをまとめます。

パターン

具体例

典型的な削減額

退職者の残存アカウント

退職した社員5名分のライセンスが有効のまま

月2〜5万円

未使用の高機能プラン

基本機能しか使っていないのにビジネスプランを契約

月1〜3万円

重複ツールの並行運用

プロジェクト管理ツールが2本、ストレージが3本

月1〜4万円

忘れられた年次契約

試験導入後に使われなくなったが解約されていないSaaS

年5〜20万円

SaaS管理を継続するための3つの工夫

入退社フローにSaaS管理を組み込む

SaaS管理が崩れる最大の原因は「入退社時のアカウント処理漏れ」です。入社時・退社時のチェックリストにSaaSのアカウント発行・削除を組み込み、人事・総務フローの一部にすることで、野良アカウントの発生を防げます。

理想的には、IDaaS(ID管理ツール。Google WorkspaceやMicrosoft Entra IDなど)を使い、IDaaS側でアカウントを無効化するだけで全SaaSのアクセスを遮断できる仕組みを整えましょう。

四半期に1回の利用状況レビューを実施する

SaaS管理台帳は作るだけでは機能しません。四半期に1回、各SaaSの利用状況と費用を見直す「SaaSレビュー」を定例化することをおすすめします。30分程度のミーティングで、不要なライセンスの削減や新たな統合の機会を発見できます。

SaaS導入ルールを整備する

新しいSaaSを導入する際のルールを事前に定めておくことで、管理できないSaaSが増えることを防げます。最低限、以下を決めておきましょう。

  • 一定金額以上のSaaSは担当部門長・経営者の承認を必要とする
  • 導入時に必ずSaaS管理台帳に登録する
  • 試験導入は3ヶ月以内に本導入or解約を判断する

まとめ:SaaS管理を「仕組み」にする

SaaS費用の削減は、一度の棚卸しで終わりではありません。継続的に管理する「仕組み」を作ることが、中長期的なコスト最適化につながります。

  1. 棚卸しで現状を把握する:全SaaSをリストアップし、利用状況・費用を確認する
  2. 削減・統合を実行する:野良アカウント・未使用ライセンス・重複ツールを整理する
  3. 管理の仕組みを作る:台帳整備・入退社フロー組み込み・定期レビューで継続管理する

「やりたいけど、誰が担当するかが問題」という場合は、IT部門代行サービスの活用も検討してください。SaaS棚卸しから管理台帳の整備、定期レビューまでまるごと外注することで、社内リソースを使わずにSaaS管理を最適化できます。

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